扶桑社が発行している日本の総合週刊誌【週刊SPA!】が運営するニュースサイト日刊SPA!に取材記事が掲載されました。
‘19年に金融庁が公表した“老後2000万円問題”。老後30年間で約2000万円が不足するという試算は、いかに老後の資産を形成していくか、世間で議論を巻き起こした。読者の中にも、漠然とした不安を抱えている人は少なくないだろう。そこで40代からでも間に合う資産運用の方法を専門家に聞いた。
40代で資産運用を始めるための4つのポイント
「若ければ若いほど、少ない金額でも高いリターンを得られる。投資を始めるなら早いほうがいい」とは、YouTubeチャンネル「鳥海翔の騙されない金融学」で、資産運用や保険、社会保障制度など、お金に関する解説を行う鳥海翔氏だ。
40代から投資を行うにあたって、鳥海氏は4つのポイントを挙げてくれた。
①少額でもいいから積立投資をとにかく早く始める
②NISAよりも圧倒的にiDeCo。会社にDCがあればDCがオススメ
③保険を見直しする。基本的に掛け捨ての死亡保険のみでOK
④iDeCoやふるさと納税など、確実にできる節税を実践する
金額や運用先よりもとにかく早くはじめることが重要!
まずは「①少額でもいいから積立投資をとにかく早く始める」について。鳥海氏は「何で投資するか考える暇があったら、とにかく早く投資を始めたほうがいい」と断言する。 「例えば、5%のリターンがある投資を月3万円、40歳から65歳まで積み立てたとします。すると900万円(3万円×12か月×25年)を投資に回すことができるうえ、5%のリターンでも1700万円を大きく上回る金額になる。 どこまでニュースを鵜呑みにするかによりますが、“老後2000万円問題”を目安にするとしたら、1700万円ではちょっと足りません。でも、投資額を増やせばいいだけなので、若ければ若いほど軌道修正はいくらでもできます。 焦る必要はありませんが、投資は長期的に行ったほうが絶対にいいので、40代からでも始めたほうがいいと思います」
NISAよりも圧倒的にiDeCoがオススメの理由
②の投資先の選択も重要なポイント。投資先は、「話題のNISA(少額投資非課税制度)よりもiDeCo(個人型確定拠出年金)のほうが圧倒的にオススメ」だという。 「NISAとiDeCoはよく対比されますが、長期投資を行う前提ならiDeCoのほうが断然お得です。というのも、iDeCoには払っている金額によって所得税と住民税が安くなるメリットがある。 年収500万円の会社員だと、最大で月2万3000円、年間で27万6000円をiDeCoに投資できます。通常は500万円に対する所得税と住民税を払わないといけませんが、iDeCoに投資していれば、27万6000円を引いた472万4000円の所得税、住民税になります。 そうすると、年間で5万5000円も税金が安くなる。これを25年間続けると、137万5000円(5万5000円×25年間)もお得です。iDeCoには“60歳まで引き出しできない”というデメリットがありますが、そもそも長期投資するのが前提なのであてにしなければいい。困ったときに使える資金は別に用意しておきましょう」 また、会社員ならDCのほうがいいケースも。DCとは、企業が掛金を毎月積み立てし、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度のこと。 「DCにはいろいろな種類があってややこしいのですが、自己負担でできるスタイルだと、所得税と住民税に加えて、社会保険料も安くなります。また、iDeCoは年間3300円の口座維持手数料がかかりますが、DCは会社が負担してくれるので、長い目で見ると、DCのほうが効果は高くなる可能性があります」
保険は基本的に掛け捨ての死亡保険のみでOK
資産の運用を長期的に行ううえで、③の保険の見直しも重要になる。保険に関して、「大前提として日本人は保険に入りすぎているパターンが多い」と鳥海氏は指摘する。 「見直すときは、必要な保険が何かを見極める必要があります。考え方としては、2つの軸で考えるといい。1つ目は発生する確率が高いのか、低いのかの軸。2つ目は発生したときに損害額が高いのか、安いのか軸です。 発生する確率が高く、損害額が高いものに備える必要があると考えるかもしれませんが、該当する保険を運用すると保険会社が潰れてしまうので、そんなものはありません。保険に入るべきは発生する確率は低いけど、発生したときに損害額が高いものになります。 これに該当するのが死亡保険です。例えば、月5000円払って、死んだときに3000万円が入るとしましょう。掛け捨ての場合、長くても30年間とすると、180万円(5000円×12か月×30年間)で支払う金額に対して3000万円もの大金を受け取れます」 3000万円を貯めるのは容易ではないが、医療保険やがん保険は貯金でも比較的対応しやすい。 「健康に自信があるなら医療保険やがん保険に入る必要はありません。子供がいる場合、上記のように死亡保険に加入しておいたほうがいいですが、単身者の場合はこれも必要ない。 葬儀費用を出すために死亡保険を勧められるケースもありますが、口座残高0円で死ぬことはほぼありません。葬儀は貯金で何とかなるので、どうしても不安なら、就業不能保険だけで十分です」
確実にできる節税を実践する
長期的に見た場合、節税も資産運用の大きな助けとなる。実践しやすいのは、iDeCoとふるさと納税だ。 「iDeCoの節税のメリットは前述の通りです。ふるさと納税は、よくわかっていない方が多い印象ですが、とにかくお得な節税制度なので、ぜひ利用すべき。 限度額は年収によって異なりますが、例えば年収500万円なら、ふるさと納税の限度額は6万円になります。6万円分のお買い物をして確定申告をすると、5万8000円もお金が戻ってくる。6万円分のお買い物が実質2000円の負担で行えるので、普通に考えてお得ですよね? 限度額を越えて購入することもできますが、戻ってくるのは決められた額まで。例に出した年収500万円の場合、ふるさと納税で6万円以上使うこともできますが、どんなに使おうとも5万8000円しか戻ってきません。年収に応じた限度額はきちんと確認してください」 ちなみに、よりお得感を味わうなら生活必需品を買うのがオススメとも。 「返礼品の中には、その商品の平均価格よりも高く設定されているものも。節税が目的なので、結果的にはお得なのですが、損した気持ちになるのが嫌なら、お米やトイレットペーパー、ティシュペーパーなど、生活必需品を買うといい。返礼品でまかなえるので、普段の家計を節約できます」
40代からの資産運用を成功させる秘訣
4つのポイントを踏まえたうえで、資産運用を成功させる秘訣は、「ゴールをしっかり見据えること」だという。 「老後までにいくら貯めるのか。ゴールをしっかり見据えている人ほど、資産運用が成功しやすいと思います。冒頭に5%のリターンを例に出しましたが、25年間続ければ、月3万円、年率5%でも継続すればそれなりの資産になる。 それなのに、年率10%のよりいい銘柄があるからと、変更すると暴落したりして目標を見失ってしまうことも。目先の利益にとらわれないようにしてください」 老後に焦らないためにも、まずは資産運用を始めるのが重要。そのうえで、情報に踊らされずに、コツコツと続けることこそが実は最短の道なのかもしれない。
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